訃報 〓 ロベルタ・アレクサンダー(76)米国のソプラノ歌手

2025/10/17

米国のソプラノ歌手ロバータ・アレクサンダー(Roberta Alexander)が10月14日、オランダの首都アムステルダムで亡くなった。76歳だった。澄み切った温かみのある歌声と奥深い音楽的解釈が高く評価され、1983年から1991年までメトロポリタン歌劇場の首席ソプラノを務めた他、ヨーロッパの主要な歌劇場で活躍した。

米国バージニア州リンチバーグ生まれで、2歳の時に家族でオハイオ州イエロースプリングスに移住。母親がソプラノ歌手、父親が合唱指揮者という家庭に育ち、セントラル州立大学、ミシガン大学で学んだ後、23歳でオランダに渡り、ハーグ王立音楽院で研鑽を積んだ。

オペラ・デビューは1975年で、オランダ国立オペラのロッシーニ《結婚の変化》のファニー役で初舞台を踏んだ。その年、ヴィクトル・ウルマンの《アトランティスの皇帝》に参加している。1980年にはヒューストン・グランド・オペラに出演して米国デビューを果たした。その年はサンフランシスコ・オペラに、1981年にはサンタフェ・オペラに、続いて、1983年にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》のツェルリーナ役でデビューと、米国にも活躍の場を広げた。

メトロポリタン歌劇場では1991年まで首席ソプラノを務め、ガーシュイン《ポーギーとベス》のベス、ヤナーチェク《イェヌーファ》のタイトルロール、モーツァルト《皇帝ティートの慈悲》のヴィッテリア、オッフェンバック《ホフマン物語》のアントニア、モーツァルトは《フィガロの結婚》のアルマヴィーヴァ伯爵夫人、《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・エルヴィラ、リヒャルト・シュトラウス《エレクトラ》の5番目の侍女などを演じている。

その間、1986年にはウィーン国立歌劇場にデビュー。 1989年には英国のグラインドボーン音楽祭で《イェヌーファ》のタイトルロールを演じて絶賛された。また、ニコラウス・アーノンクール率いるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとは、《テオドーラ》や《アポロとダフネ》といったヘンデルの作品、《ドン・ジョヴァンニ》や《イドメネオ》といったモーツァルトの作品で共演を重ね、録音も残している。

オペラには2019年まで出演。飾らない雄弁さで言葉と音楽を生き生きと表現する力を持ち、特にモーツァルトの作品で高く評価された。ソリストとしてはバッハ、ヘンデル、マーラーの歌曲などでは思慮深い歌唱で称賛を集めた。二度結婚しており、最初の夫君は指揮者のエド・デ・ワールト。

写真:ANP


関連記事

  1. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が2025年から新制作の「リング・チクルス」を上演

  2. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・オペラが届かない舞台装置を急きょ自作、2021/2022シーズンは予定通りの開幕

  3. 訃報 〓 エヴァ・ポドレシ(71)ポーランドのコントラルト歌手

  4. ワシントン発 〓 ジャナンドレア・ノセダがナショナル響とウクライナ国歌

  5. ロサンゼルス発 〓 ヴィネタ・サレイカ=フォルクナーがロサンゼルス・フィルへ!?

  6. ワシントン発 〓 ナショナル・オペラが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ロサンゼルス発 〓 ジョン・ウィリアムズがドゥダメルに退任記念の新作ファンファーレ

  8. ニューヨーク発 〓 ニューヨーク・フィルが2020/2021シーズンをキャンセル、178年で初

  9. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場は新型コロナウイルスのワクチン接種義務付け

  10. フィラデルフィア発 〓 ピアニストのゲイリー・グラフマンがカーティス音楽院を退任

  11. ニューヨーク発 〓 ネトレプコの米国復帰めぐり、メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁と本人が応酬

  12. 訃報 〓 ペーター・シュミードル(84)元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者

  13. ニューヨーク発 〓 リンカーンセンターが2021年春のシーズンをキャンセル

  14. フォートワース発 〓 韓国のイム・ユンチャンが第16回「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で史上最年少優勝

  15. ニューヨーク発 〓 アン・アキコ・マイヤースがオルフェウス室内管弦楽団の芸術パートナーに

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。