訃報 〓 エドゥアルド・アルテミエフ(86)ロシアの作曲家

2023/01/02
【最終更新日】2023/02/05

ロシアの作曲家エドゥアルド・アルテミエフ(Eduard Artemyev)が12月29日、新型コロナウイルス感染に伴う肺炎でモスクワで亡くなった。86歳だった。主にシンセサイザーを用いた電子音楽、映画音楽を手がけ、アンドレイ・タルコフスキー監督の映画『惑星ソラリス』の音楽などで知られる。

1937年、ノヴォシビルスク生まれ。家族はモスクワからの移住者で、7歳の時にモスクワに暮らす叔父の下に預けられ、モスクワ合唱大学(現在のポポフ合唱アカデミー)で音楽教育を受けた。長じてモスクワ音楽院に入学、ユーリ・シャポーリンの下で作曲を学んだ。

音楽院を卒業した1960年、世界初の光電子合成装置「ANSシンセサイザー」を開発したエフゲニー・ムルジンと出会い、1961年から1963年にかけて彼の下で、モスクワの軍事研究所の音響研究室の上級エンジニアとして活動。旧ソ連で電子音楽というジャンルを切り拓いた作曲家の一人として、「電子音楽の祖」とも呼ばれた。

1963年には作曲家ヴァノ・ムラデリの提案で、ミハイル・カリウコフとオタール・コベリゼが監督したSF映画『再会の夢』の音楽をANSで録音。以後、アンドレイ・タルコフスキーやニキータ・ミハルコフ、アンドレイ・コンチャロフスキーといった監督の作品など、170作品近い映画やドキュメンタリーなどに音楽を提供している。

タルコフスキー作品では代表作の『惑星ソラリス』、『鏡』や『ストーカー』に音楽を提供。また、それらの音楽が1980年のモスクワ五輪、2014年のソチ冬季五輪の開会式や閉会式などに使われた。

一方でモスクワ国立文化大学やモスクワ音楽院で後進の指導に当たり、ロシア音楽連合評議会の共同議長、ロシア作曲家連合評議会のメンバー、ロシア映画芸術アカデミーやロシア国立映画芸術科学アカデミーの会員など数多くの公職を歴任した。

また、名誉芸術家(1985年)、人民芸術家(1999年)、労働英雄(2022年)をはじめ、ロシア連邦の国家賞も4回受賞。2001年と2022年にモスクワ国際映画祭賞を受賞している。

2016年にはスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場で、コンチャロフスキー監督の演出によってロック・オペラ《罪と罰》が初演され、それが2017年の「ゴールデン・マスク・シアター賞の「ミュージカル・シアターにおける作品」部門賞を受賞している。

RIA Novosti / Ruslan Krivobok


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