新型コロナウイルスの感染拡大でオペラ、オーケストラの公演ができなくなる中、ワシントンのケネディー・センターが3月27日、傘下のナショナル交響楽団(National Symphony Orchestra)の楽団員に対してレイオフを通知した。
米国での報道を総合すると、通知は給与の最後の支払いが4月3日に行われ、5月31日から健康保険もストップすることを告げている。既にレイオフを行った他のオーケストラに比べ、健康保険が継続されない分、一段と厳しい内容になっている。
しかし、この通知がトランプ大統領がケネディ・センターに対する2,500万ドルの支援を承認してから数時間後だったことから、音楽家たちの猛反発を招いている。
楽団員たちが所属する音楽家組合のワシントンD.C.の支部は、今回の決定は「年間の寄付金が1億ドル近くある組織の振る舞いとは考えられない」と主張。また、経営陣と組合との間に結ばれている交渉協定の違反も指摘している。
協定には、経済的理由によって支払いを停止する6週間前に通知する必要がある、とあり、組合側はすぐに仲裁機関に対して異議申し立てを行っている。
ケネディー・センターへの支援は、過去最大の2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策法案をめぐる与野党協議の中で民主党が強く主張していた経緯があることから、トランプ大統領の反発も予想される。
写真:National Symphony Orchestra
ワシントン発 〓 ケネディー・センターがナショナル響の楽団員をレイオフ
2020/03/29
【最終更新日】2020/03/30
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