ワシントン発 〓 ケネディー・センターがナショナル響の楽団員をレイオフ

2020/03/29
【最終更新日】2020/03/30

新型コロナウイルスの感染拡大でオペラ、オーケストラの公演ができなくなる中、ワシントンのケネディー・センターが3月27日、傘下のナショナル交響楽団(National Symphony Orchestra)の楽団員に対してレイオフを通知した。

米国での報道を総合すると、通知は給与の最後の支払いが4月3日に行われ、5月31日から健康保険もストップすることを告げている。既にレイオフを行った他のオーケストラに比べ、健康保険が継続されない分、一段と厳しい内容になっている。

しかし、この通知がトランプ大統領がケネディ・センターに対する2,500万ドルの支援を承認してから数時間後だったことから、音楽家たちの猛反発を招いている。

楽団員たちが所属する音楽家組合のワシントンD.C.の支部は、今回の決定は「年間の寄付金が1億ドル近くある組織の振る舞いとは考えられない」と主張。また、経営陣と組合との間に結ばれている交渉協定の違反も指摘している。

協定には、経済的理由によって支払いを停止する6週間前に通知する必要がある、とあり、組合側はすぐに仲裁機関に対して異議申し立てを行っている。

ケネディー・センターへの支援は、過去最大の2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策法案をめぐる与野党協議の中で民主党が強く主張していた経緯があることから、トランプ大統領の反発も予想される。

写真:National Symphony Orchestra

関連記事

  1. マルティナ・フランカ発 〓 ヴァッレ・ディートリア音楽祭が開催を決定

  2. ベルリン発 〓 第2ヴァイオリンの首席にマレーネ・イトウ、ベルリン・フィル

  3. ライプツィヒ発 〓 市立歌劇場の次期音楽総監督にクロアチアのイヴァン・レプシッチ

  4. インスブルック発 〓 アイナルス・ルビキスがインスブルック響の首席指揮者に

  5. サンホセ発 〓 コスタリカ国立響の首席指揮者兼芸術監督にスペインのアンドレス・サラド

  6. ザルツブルク発 〓 夏の音楽祭はプログラムを組み直して開催を模索

  7. 東京発 〓 シュターツカペレ・ベルリンの日本ツアーで指揮者交代、バレンボイムの代役にティーレマン

  8. アムステルダム発 〓 オランダ国立オペラが新作の《トスカ》と《魔弾の射手》の無料ストリーミングを開始

  9. クリーブランド発 〓 クリーブランド管弦楽団がヨーロッパ・ツアーを中止

  10. ミュンヘン発 〓 ドイツ・サッカー界の“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーの追悼式でカウフマンが熱唱

  11. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新シーズンの開幕に先立ち、「9.11同時多発テロ」犠牲者追悼コンサート

  12. ロンドン発 〓 ロンドン響が2024/2025シーズンを発表、アントニオ・パッパーノ体制がスタート

  13. ストックホルム発 〓 スウェーデン王立オペラが演奏会形式の《トスカ》を収録、ストリーミング

  14. マルチナ・フランカ発 〓 ヴァッレ・ディートリア音楽祭の次期芸術監督にセバスチャン・シュワルツ

  15. ワシントン発 〓 ヴァイオリニストの五嶋みどりにケネディ・センター名誉賞

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。