ベルギー・ゲントで行われているフランダース音楽祭(Gent Festival van Vlaanderen)がミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の出演を取り消した。音楽祭では、オーケストラの次期首席指揮者ラハフ・シャニは平和と和解について繰り返し発言してきたが、イスラエル政府に対する姿勢は不明確として、「文化大臣、ゲント市議会、ゲントの文化部門からの要請に基づき、ネタニヤフ政権から明確に距離を置いていないパートナーとの協力は控えることを決定した」としている。
取り消されたのは18日の公演。音楽祭自らが「芸術的なハイライトの一つになるはずだった」という公演で、シャニがワーグナー、シューベルト、ベートーヴェンを指揮することになっていた。
今回の突然の決定にオーケストラは「ラハフ・シャニがイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督も務めていることを理由に出演を取り消された」と発表。フローリアン・ヴィーガンドは芸術監督の「欧州連合(EU)の本拠地であるベルギー、つまり欧州の中心地で、このような想像を絶する決定が下されたことに愕然としている」と怒りのコメントを発表した。
また、オーケストラとシャニの共同声明では、「シャニは音楽家として、また人間として、理解、人道主義、対話を推進している。イスラエル人アーティストを総じて疑って、集団で罰することは断固として拒否する。出身や宗教を理由に、人々をステージやコンサートホール、その他の公共の場所から追放することは、ヨーロッパの重要な民主的価値観に対する攻撃である」と怒りを露わにしている。
これに呼応して、ミュンヘンのディーター・ライター市長も「主催者の決定をまったく理解できない」と反発。ヴォルフラム・ヴァイマー文化大臣はもっと激烈で、「ドイツのトップオーケストラとそのユダヤ人首席指揮者が招待を取り消されるなんて、ヨーロッパにとって恥ずべきこと。イスラエルに対する批判という名目のもと、ここでは文化的なボイコットが行われている。これはまったくの反ユダヤ主義であり、私たちの文化の基盤に対する攻撃だ」。
大臣は加えて、今回の決定を「危険な前例」と表現。「ドイツのオーケストラやユダヤ人アーティストをまとめて招待を取り消すことが容認されるようになれば、一線を超えたことになる。ヨーロッパの舞台は、反ユダヤ主義者が公演のプログラムを決める場所になってはならない」、「この問題をヨーロッパの文化政策にも持ち込む」とのコメントを出している。
写真:Marco Borggreve
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ゲント発 〓 フランダース音楽祭がミュンヘン・フィルの出演を取消、次期首席指揮者ラハフ・シャニのネタニヤフ政権との距離感理由に
2025/09/11
【最終更新日】2025/09/13
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