脳腫瘍の闘いを続けているマイケル・ティルソン・トーマス(Michael Tilson Thomas)が26日、25年にわたって音楽監督を務めたサンフランシスコ交響楽団が用意した80歳を祝うコンサートを指揮、指揮活動から引退した。現地の報道をまとめると、会場はトーマスのシンボル・カラーの青に染まり、熱狂的な興奮に包まれたという。
この日は来場者用に青いバンダナが客席に配布され、演奏に先立ち、サンフランシスコのダニエル・ルーリー市長がトーマスを前に「マイケル・ティルソン・トーマス・デー」の制定を宣言。来場者は大歓声で応え、バンダナや記念グッズを打ち振って、トーマスのクラシック音楽界への51年間の貢献を称えた。
コンサートは本人の指揮でブリテンの《青少年のための管弦楽入門》で開幕。その後、トーマスが椅子に座って見守る中、弟子のテディ・アブラムスとエドウィン・アウトウォーターが指揮を分担しながら、トーマスの新作編曲作品に加え、トーマスの祖母ベッシー・トーマシェフスキーがニューヨークでの世界初演でタイトルロールを演じたユダヤ語劇の序曲 と、師匠レナード・バーンスタイン作曲の《チチェスター詩篇》のフィナーレが演奏された。
また、コンサートにはメゾ・ソプラノのサーシャ・クックとフレデリカ・フォン・シュターデ、ニューヨーク在住の歌手兼コメディアンのベン・ジョーンズ、ブロードウェイ歌手ジェシカ・ヴォスク、サンフランシスコ響の合唱団も出演。演奏の幕が降りると、青い風船が降り注ぐ中、涙を拭う聴衆の姿も目立ったという。
また、ロビーでは、トーマスがレモン栽培を行っているウェスト・マリンの町にちなんで名付けられた「ボリナス・ブリーズ」というオリジナル・カクテルも提供された。バンダナにはトーマスの「アーティストの人生には2つの重要な時期がある。最初の時期は自分自身を創造すること。2つ目の、より困難な時期は、その道を貫き通すこと」という言葉が入っているという。
写真:San Francisco Symphony
サンフランシスコ発 〓 マイケル・ティルソン・トーマスが最後の指揮台に

2025/04/30
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