パレルモ発 〓 テアトロ・マッシモの音楽監督にオメール・メイア・ヴェルバー

2018/07/27

イタリアのテアトロ・マッシモ(Teatro Massimo)が2020年から、イスラエル出身の指揮者オメール・メイア・ヴェルバー(Omer Meir Wellber)を音楽監督に迎えることになった。ヴェルバーは1981年、イスラエル南部ベエルシェバ(Be’er Sheva)生まれの36歳。テルアビブの音楽アカデミーなどで学び、ラアナナ・シンフォニエッタ(Ra’anana Symphonette Orchestra)、イスラエル・オペラの指揮者として活動をスタート。その後、各地の歌劇場、オーケストラを指揮。2011-2014年にかけてスペイン・バレンシアのソフィア芸術宮殿(Palau de les Arts Reina Sofia)の音楽監督を務めた。2018-2019シーズンからはドレスデンのザクセン州立歌劇場の首席客演指揮者に就任する。また、10月には、ビゼーの歌劇《カルメン》を指揮して、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューすることが決まっている。日本へは2010年、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でリヒャルト・シュトラウスの歌劇《サロメ》を指揮してデビューしている。

テアトロ・マッシモはイタリア南部シチリア島の中心都市パレルモにあるオペラハウス。劇場のこけら落としは1897年、ヴェルディの歌劇《ファルスタッフ》を上演して行われている。客席数は1400席弱ながら、建物はウィーン国立歌劇場、パリのガルニエ宮に次いで、ヨーロッパで3番目に大きいオペラハウスとして知られる。しかし、1974年から始まった大修復にマフィアが介入して工事が頓挫、23年間も閉鎖されたまま放置されるという事態に。閉鎖中、劇場が映画「ゴッドファーザーPart3」の撮影に使われたことは有名で、マイケルの息子がオペラ歌手デビューする場面にロイヤル・ボックスが映り、マイケルを狙った弾がそれて娘に当たる場面に正面の階段が映っている。再開場が実現したのは開場100周年に当たる1997年。この時、パレルモ出身の作曲家フランコ・マンニーノ、クラウディオ・アバドの二人がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮する記念コンサートが行われた。また、2007年には初の日本公演を実現させた。

写真:Wilfried-Hösl / IMG Artists

関連記事

  1. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの首席ホルン奏者デヴィッド・クーパーが退団

  2. ミラノ発 〓 スカラ座がサウジアラビアからの資金提供を拒否

  3. ウィーン発 〓 アン・デア・ウィーン劇場が2019/2020シーズンの公演ラインナップを発表

  4. ローマ発 〓 ヴァイオリニストの五嶋みどりが「国際農業開発基金」の年次総会理事会で演奏

  5. ハンブルク発 〓 難民たちに州立歌劇場が《ナブッコ》のコーラスへの参加呼びかけ

  6. グラフェネッグ音楽祭 〓 2019年の概要を発表

  7. ワルシャワ発 〓 新しい“ショパン・コンクール”終了

  8. 東京発 〓 吹奏楽の聖地「普門館」を吹奏楽関係者に開放、解体工事前の11月に

  9. バーデン=バーデン音楽祭 〓 ネトレプコ、エイヴァゾフ夫妻が《アドリアーナ・ルクヴルール》を降板

  10. フランクフルト発 〓 フランクフルト歌劇場が2018/2019シーズンのラインナップを発表

  11. ウィーン発 〓 代役は指揮者!?

  12. 第2回「スピヴァコフ国際ヴァイオリン・コンクール」はスペインのマリア・ドゥエニャスが優勝

  13. マグデブルク発 〓 ワーグナー《ニーベルングの指環》のヴォータン役に女性歌手!?

  14. ロンドン発 〓 ラトルが隠れた名作をディナー・パーティーでゲット!?

  15. バイロイト音楽祭 〓 2019年の《タンホイザー》でゲルギエフが音楽祭デビュー

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。