ラ・コート=サンタンドレ発 〓 指揮者のガーディナーが公演に出演した歌手に暴行、謝罪

2023/08/25

80歳を迎えた英国指揮者界の重鎮ジョン・エリオット・ガーディナー(John Eliot Gardiner)が暴力事件を起こし、謝罪声明を出すという事態に陥っている。英国などでの報道によると、ガーディナーは自分のコンサートに出演していた歌手が間違った側から退場したことに激怒、罵倒して殴打したという。

事件が起きたのは22日の夜。ガーディナーは手兵のモンテヴェルディ合唱団、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックを率いてフランスのラ・コート=サンタンドレで行われているベルリオーズ音楽祭の開幕公演に客演、オペラ《トロイ人》を指揮していた。

その第1幕終了後、プリアム役で出演していた28歳のバス歌手ウィリアム・トーマスが予定とは違った扉から退場。それにガーディナーは激怒し、舞台裏で出演者たちの前でトーマスを叱責、顔を平手打ちしたという。さらに公演後、翌日の公演をアシスタント指揮者のディニス・スーザに託し、英国に帰国してしまったという。

ガーディナーの代理人は当初、22日の出来事について「極度の暑さに悩まされていたことに加え、最近服用していた薬が変わったために起こった可能性がある」と釈明。しかし、翌日になってガーディナー本人が「この事件を深く反省している。私の行動を正当化することはできませんし、私が最も尊敬しているウィル・トーマスにも個人的に謝罪しました」という声明を出して謝罪した。

また、ベルリオーズ音楽祭後のザルツブルク音楽祭(26日)、ヴェルサイユ音楽祭(29日)、ベルリン音楽祭(9月1日)、BBCプロムス(3日)の公演からの降板を表明。「自分の行動を反省する時間が必要ですので、ご理解とご容赦をお願いします。スーザとすべての音楽家たちがツアーの残りのコンサートで大成功を収めることを祈っています」と述べている。

写真:Chris Christodoulou


  音楽祭プロフィールはこちら ▷


関連記事

  1. バイロイト発 〓 新しい《ニーベルングの指環》で指揮者交代。インキネンが新型コロナでダウン、代役にマイスター

  2. シカゴ発 〓 グラント・パーク音楽祭の芸術監督・首席指揮者にジャンカルロ・ゲレーロ

  3. 大津発 〓 滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール」のゴールデン・ウィークは「近江の春 – びわ湖クラシック音楽祭」から「びわ湖の春音楽祭」に

  4. パリ発 〓 パリ国立オペラが2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  5. グラフェネック発 〓 乗馬学校を「ルドルフ・ブッフビンダー・ホール」に改修、グラフェネック音楽祭に第3のホール

  6. バイロイト音楽祭 〓 夏の音楽祭のチケットのネット販売を停止

  7. ペーザロ発 〓 ロッシーニ・オペラ・フェスティバルが来年の公演ラインナップを発表

  8. ナンシー発 〓 ロレーヌ国立オペラの次期音楽監督にポーランドの指揮者マルタ・ガルドリンスカ

  9. シンシナティ発 〓 2025年の5月声楽祭の監督にソプラノ歌手のレネ・フレミング

  10. ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭 〓 代役でネトレプコが《トスカ》に出演

  11. バイロイト発 〓 来年の音楽祭の《タンホイザー》はアクセル・コーバーが指揮!?

  12. リガ・ユールマラ音楽祭 〓 ネルソンズがバイロイト祝祭管弦楽団を率いて登場、シカゴ交響楽団の代役で

  13. レノックス発 〓 タングルウッド音楽祭が2024年のスケジュールを発表、ドゥダメルが2006年以来久々に登場

  14. ロンドン発 〓 レザール・フロリサンが創立40周年ツアー

  15. ザルツブルク発 〓 モーツァルト週間が二年連続の中止を発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。