訃報 〓 マリア・ユーイング, アメリカのメゾ・ソプラノ歌手

2022/01/12

ソプラノ、メゾ・ソプラノ歌手として活躍したマリア・ユーイング(Maria Ewing)が1月9日、生まれ故郷の米国デトロイトで亡くなった。71歳だった。著名な歌劇場で活躍、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの創設者で演出家のピーター・ホールと一時期結婚しており、夫妻の娘はハリウッド女優のレベッカ・ホール。

ユーイングは1950年、デトロイトの生まれ。父親がスー族のネイティブ・アメリカン、母親はオランダ人という家庭で育ち、クリーブランドとニューヨークで声楽を学び、1973年にシカゴ郊外で行われている夏の音楽祭「ラヴィニア音楽祭」で歌手デビューを果たした。

メトロポリタン歌劇場デビューは1976年で、音楽監督のジェームズ・レヴァインに見出されてモーツァルト《フィガロの結婚》のケルビーノを歌っている。以降、1997年のベルク《ヴォツェック》まで96回出演している。

1978年には英国グラインドボーン音楽祭に出演。そこでホールに出逢い、二人は1982年に結婚した。夫妻は1990年の離婚まで、《カルメン》や《フィガロの結婚》などで共演。1988年のロイヤル・オペラの《サロメ》では、ホールが希望しなかったにもかかわらず「7つのヴェールの踊り」をオール・ヌードで踊り、それが放送されて大きな話題を集めた。

ヨーロッパでの初舞台はスカラ座のドビュッシー《ペレアスとメリザンド》メリザンド役。他にカルメン、ドラベッラ、サロメ、マリーを持ち役にしており、1992年にはチョン・ミョンフン指揮のパリ国立オペラとの録音で《ムツェンスク郡のマクベス夫人》カテリーナ・イズマイロヴァ役を歌って貫禄を聴かせた。

1997年にオペラの舞台から引退。残された録音は多く、カール・ベーム指揮の《フィガロの結婚》、ベルナルト・ハイティンク指揮の《ドン・ジョヴァンニ》、レナード・バーンスタイン指揮のモーツァルトのレクイエム、クラウディオ・アバド指揮の《ペレアスとメリザンド》などがある。

写真:Royal Opera House / Clive Barda







関連記事

  1. 訃報 〓 ベルナルト・ハイティンク, オランダの指揮者

  2. ミュンヘン発 〓 ゲルトナープラッツ劇場のジェニファー・オローリン、ルシアン・クラスネクにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  3. ミラノ発 〓 スペランツァ・スカップッチのスカラ座デビューが代役起用で前倒しに

  4. ハレ発 〓 ヘンデルの生地ハレのヘンデル音楽祭も開催断念

  5. ルツェルン発 〓 夏の音楽祭の中止決まる

  6. ロンドン発 〓 イングリッシュ・ナショナル・オペラが5年かけ、新しい《ニーベルングの指環》

  7. マドリッド発 〓 テアトロ・レアルが新制作のプッチーニ《トスカ》をストリーミング配信

  8. ウィーン発 〓 アン・デア・ウィーン劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  9. ニューヨーク発 〓 カーネギー・ホールが7月末までの公演をすべてキャンセル

  10. 東京発 〓 来日したエーテボリ響の公演中止、そのまま帰国へ

  11. ワルシャワ発 〓 ポーランドもロックダウンへ

  12. 訃報 〓 クラウディオ・カヴィーナ, イタリアの指揮者・カウンターテナー

  13. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場がネット上でスター歌手40人超えの特別ガラ・コンサート

  14. 訃報 〓 ジョン・キンセラ, アイルランドの作曲家

  15. マドリッド発 〓 RTVE交響楽団の次期首席指揮者・音楽監督にクリストフ・ケーニヒ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。