訃報 〓 ジェームズ・レヴァイン, 米国の指揮者

2021/03/18

米国の指揮者ジェームズ・レヴァイン(James Levine)が3月9日、パーム・スプリングで亡くなった。77歳だった。主治医は死因を明らかにしていないが、1990年代半ばからパーキンソン病を発症、2008年に悪性腫瘍が見つかった右腎臓を摘出、椎間板手術も何度も受けていた。戦後を代表する指揮者の一人で、1970年代からニューヨークのメトロポリタン歌劇場の音楽監督・芸術監督を40年以上にわたった務めた。

シンシナティのユダヤ系の家庭の生まれ。父親はヴァイオリニストでダンス・バンドのリーダー、母親は女優。ジュリアード音楽院卒業後、クリーヴランド管弦楽団でジョージ・セルのアシスタントを務めるなどした後、1970年にフィラデルフィア管弦楽団を指揮してデビューした。

メトロポリタン歌劇場へのデビューは1971年で、その大成功を受けて1975年に音楽監督、1986年には芸術監督に就任した。2015/2016シーズン末にパーキンソン病の悪化で退任した後も名誉音楽監督として指揮を続けていた。しかし、2018年3月に過去の男性音楽家に対するセクハラ行為で解雇された。その後、歌劇場とは裁判開始前の2019年8月に350万ドルで和解が成立した。

一方、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1999-2004)、ボストン交響楽団(2004-2011)の首席指揮者や音楽監督も歴任。音楽祭とも縁が深く、オーストリアのザルツブルク音楽祭には1975年にデビュー、ドイツのバイロイト音楽祭ではデビューとなった1982年にワーグナー《パルジファル》の初演百周年公演を指揮している。また、スイスのヴェルビエ音楽祭の常連で、シカゴのラヴィニア音楽祭、シンシナティの五月音楽祭の音楽監督なども務めた。

メトロポリタン歌劇場解雇後は指揮活動から遠ざかっていたが、フィレンツェ歌劇場で2021年1月半ばにコンサートを指揮することが決まっていた。しかし、新型コロナウイルスの流行が収束しないことから公演がキャンセルされて現場復帰はかなわなかった。また、6月にも、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の指揮台に立つことになっていた。

写真:Metropolitan Opera / Steve J. Sherman





関連記事

  1. キーウ発 〓 ウクライナ国立オペラがオペラ上演を再開

  2. マチェラータ発 〓 スフェリステリオ音楽祭が開催決定

  3. 訃報 〓 ケネス・ギルバート, カナダ出身のチェンバロ奏者

  4. パリ発 〓 パリ国立オペラが「ウクライナ支援コンサート」

  5. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ響も2020/2021シーズンをキャンセル

  6. ナッシュビル発 〓 ナッシュビル響が来シーズンをキャンセル

  7. リガ発 〓 指揮者のカレル・マーク・チチョンがラトビア国籍を取得

  8. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  9. ルクセンブルク発 〓 指揮者のグスターボ・ヒメノがルクセンブルク・フィルとの契約を延長

  10. ワルシャワ発 〓 ショパン国際ピアノ・コンクール、予選を再度延期

  11. シカゴ発 〓 指揮者のマリン・オールソップがラヴィニア音楽祭との契約を延長

  12. 訃報 〓 エンニオ・モリコーネ, イタリアの作曲家

  13. ニューヨーク発 〓 カーネギー・ホールがハレルを偲ぶオンライン演奏会

  14. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラの次期音楽監督にキム・ウンソン

  15. ベルゲン発 〓 ベルゲン・フィルがオンライン音楽祭「ウィンターメッツォ」をスタート

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。