ミュンヘン発 〓 バリトンのジェラルド・フィンリーにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

2024/07/22

カナダのバリトン歌手ジェラルド・フィンリー(Gerald Finley)にバイエルン州から「宮廷歌手」の称号が贈られた。ワーグナー《パルジファル》でアンフォルタスを歌った7月20日、公演後にバイエルン州立歌劇場で伝達式が行われ、指揮者のアダム・フィッシャーやニーナ・シュテンメら出演者、州立オペラのセルジュ・ドルニー総裁から祝福を受けた。

フィンリーはモントリオール生まれの64歳。オタワ大学、英国ケンブリッジ大学のキングス・カレッジ、王立音楽大学などで学んでいる。モーツァルト作品や現代オペラで名声を確立、1991年にザルツブルク音楽祭にデビュー、アルマヴィーヴァ伯爵やドン・アルフォンソなどの役で出演を重ね、2017年のライマン《リア》で絶賛を浴びた。

1998年にモーツァルト《魔笛》のパパゲーノでニューヨークのメトロポリタン歌劇場に、2012年にはウィーン国立歌劇場にアルマヴィーヴァ伯爵役でデビューし、その後も出演を重ねている。また、現代オペラへの出演も多く、2005年にはサンフランシスコ・オペラで世界初演されたジョン・アダムスの《ドクター・アトミック》オッペンハイマー役を演じた。2017年に大英帝国勲章コマンダー賞(CBE)に叙せられている。

「宮廷歌手」の称号は、バイエルン州文化省が1955年から、傑出した芸術的業績に対して授与しているもの。これまで130人以上の歌手が受賞しており、最近では、アンニャ・カンペ、マルリス・ペーターゼン、ヨナス・カウフマン、クリスティアン・ゲルハーヘル、ボー・スコフース、シュテンメが受賞している。

写真:Bayerische Staatsoper / Wilfried Hösl


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