ナンテール発 〓 名曲《ボレロ》の著作権をめぐる訴訟で、保護期間の延長を求める承継者らの訴えを裁判所が棄却

2024/07/03

フランスの作曲家ラヴェルの名曲《ボレロ》の著作権をめぐる訴訟で、パリ近郊ナンテールの地方裁判所が6月29日、著作権保護期間の延長を求める承継者らの訴えを退ける判決を言い渡した。2015年の著作権失効直前、ラヴェルと画家のアレクサンドル・ブノワ(1960年没)の権利承継者らがボレロの共同著作権を主張して著作権者協会に延長を請求、協会がこれを拒否したことから訴訟になっていた。

《ボレロ》は1928年に作曲、初演された作品。1937年に亡くなったラヴェルの著作権は第二次世界大戦を考慮した延長を経て、没後78年で失効。フランスでは1921年以降の作品は2016年5月1日から、それ以前の作品も2022年9月29日から著作権フリーになっている。

しかし、《ボレロ》は15分に一度、世界のどこかで演奏され、見積もられる著作権使用料は年間2億円超。今回の訴訟は、権利承継者らがそれを狙い、著作権の復活と延長を図るために起こしたもので、認められた場合、ブノワの没後から著作権保護期間が改めて70年認められ、2039年まで延長されることになるという。

現地の報道によると、承継者らは、《ボレロ》は元々はバレエ作品で、振付をブロニスラヴァ・ニジンスカ(1972年没)、舞台装置と衣装をブノワが担当、共同制作されたものと主張していた。しかし、判決はブノワ本人が一度も共同制作について言及していないこと、二人の振付や舞台によるバレエ公演は初演から現在まで一度も再演されていないこと、などから承継者側の要求を退けている。

写真:BBC


関連記事

  1. ロンドン発 〓 ラトルら世界的な音楽家119人が嘆願書、ウクライナ侵略戦争の即時停止、ロシアのアーティストの一律ボイコットに反対の訴え

  2. プラハ発 〓 プラハ放送響の次期首席指揮者にペトル・ポペルカ

  3. ベルリン発 〓 ドイツが過去最大規模の21億ユーロで文化支出を支援

  4. ニース発 〓 ニース・フィルの首席指揮者にリオネル・ブランギエ

  5. ベルリン発 〓 リサ・バティアシュヴィリがベルリン・フィルのコンサートマスターに

  6. リエージュ発 〓 ベルギーのワロン王立オペラが2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの新しいクラリネット奏者はともにスロベニア出身で同門という二人

  8. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラが5月17日、新制作の《皇帝ティートの慈悲》で再開場へ

  9. ワルシャワ発 〓 第18回ショパン国際ピアノ・コンクールの予備予選終了、日本からは14人が本大会へ

  10. パレルモ発 〓 ムーティが50年ぶりにマッシモ劇場管弦楽団の指揮台に

  11. トリノ発 〓 RAI国立交響楽団がスペイン・ツアーを中止

  12. 訃報 〓 ケルスティン・マイヤー(92)スウェーデンのメゾ・ソプラノ歌手

  13. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルが5月1日に恒例の「ヨーロッパ・コンサート」

  14. ロンドン発 〓 作曲家の久石譲がロイヤル・フィルの「コンポーザー・イン・アソシエーション」に

  15. 東京発 〓 東京都交響楽団が首席客演指揮者のアラン・ギルバートとの契約を延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。