約40年にわたってスカラ座管弦楽団のコンサートマスター、ソロ・ヴァイオリニストを務めたフランコ・ファンティーニ(Franco Fantini)が4月2日に亡くなった。99歳だった。
ミラノ音楽院でエンリコ・ポロとミケランジェロ・アバドにヴァイオリンを師事した後、1942年に17歳でスカラ座管弦楽団に第1ヴァイオリン奏者として入団。1954年にコンサートマスターに就任、1993年までヴィクトル・デ・サバタ、アルトゥーロ・トスカニーニ、クラウディオ・アバド、ヘルベルト・フォン・カラヤン、カルロ・マリア・ジュリーニ、ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ、リッカルド・ムーティ、リッカルド・シャイーといった蒼々たる指揮者と共演を重ねた。
スカラ座は第2次大戦末期、連合軍の空襲で建物が破壊されたが、市民らがその再建に奔走。1946年5月11日にはトスカニーニの指揮で再開コンサートを行っているが、その時も演奏している。1960年11月2日、ディミトリス・ミトロプーロスがマーラーの交響曲第3番第2楽章のリハーサル中に心臓発作を起こして急逝した時のことを、回想録『スカラ座での人生』の中で「その朝、彼は私たちを一人ずつ出迎えた。彼はリハーサルを始めたのですが、数小節を終えた後、生気を失って倒れてしまったのです」と回想している。
また、アンジェロ・エフリキアン指揮ミラノ・ソリスティ、アバド指揮スカラ座ソリスティ、アンジェロ・ステファナート指揮のローマ・ヴィルトゥオージにも所属。スカラ座カルテットの第1ヴァイオリンを15年間務めた。まさに生き字引的存在で、スカラ座はファンティーニが90歳を迎えた2015年、誕生日にヴェルディ《アイーダ》を上演、その誕生日を祝っている。
シャイーは彼の回想録に序文を寄せ、「音楽を特徴づけるような深遠かつ長期にわたる芸術的共同作業では、一拍一拍、何時間にもわたって音楽と触れ合う必要がある」と強調、「生涯を通じて蓄積された経験によって教養を身につけた、このような専門的で信頼できる相棒に頼ることができることは、指揮者にとって絶対的に重要な支えであった」と述べている。
写真:Teatro alla Scala
訃報 〓 フランコ・ファンティーニ(99)イタリアのヴァイオリン奏者, スカラ座管弦楽団の元コンサートマスター
2024/04/08
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