パリ発 〓 長引くスト、国立オペラの《セビリアの理髪師》も上演中止

2020/01/13

昨年12月5日からストライキに突入しているパリ国立オペラ(Opéra national de Paris)で、年明け第1弾の《セビリアの理髪師》の上演が中止された。カルロ・モンタナーロの指揮、リセッテ・オロペサ、フロリアン・センペイらが出演する予定だった。14日の公演も流れる公算が大。ステファン・リスナー(Stephane Lissner)総裁は年末、ストが12月いっぱい続いた場合、その損害が1200万ユーロ(約14億5000万円)を超えるという報告を政府に出している。

今回のストライキは、マクロン政権による年金制度改正に労働組合が反発したもの。改正案は年金財政の安定化をめざし、職種ごとに設けられている42の年金制度の一元化をめざしており、実現すると、年金の支給開始年齢が64歳に統一される。そのため、受給開始年齢などで優遇されている国鉄、地下鉄やバスを運行するパリ交通公団、電力公社を中心にしながら、黄色いベスト運動の参加者まで加わる全国的なものに拡大。クリスマス時期の休戦も実現しなかった。

パリ国立オペラでも、技術スタッフや裏方だけでなく、バレエ団のダンサーが参加しているのが特徴。バレエ団が誇る350年の長い歴史の中でも、ダンサーがストに参加するのは極めて珍しいという。ダンサーたちの年金制度は“太陽王”ルイ14世の時代に導入されたもので、42歳で定年になると、その後は月およそ1000ユーロの年金を受けとる仕組み。一元化されると、年金の受給が20年遅れることになるという。

写真:ludovic Marin / AFP

関連記事

  1. ワルシャワ発 〓 ピアノの名門「ベヒシュタイン」が50年ぶりにショパン国際ピアノ・コンクールの舞台に

  2. モスクワ発 〓 2021年の「オペラリア」はボリショイ劇場で開催

  3. ベルゲン発 〓 第17回「グリーグ国際ピアノ・コンクール」で石井楓子が第1位に

  4. ヴェローナ発 〓 ガスディア総裁が音楽祭の開催を諦めていないと、新聞のインタビューで

  5. マドリード発 〓 テアトロ・レアルが新シーズン、2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  6. ベルリン発 〓 バレンボイム入院長引き、5月のウェスト=イースタン・ディヴァン管のツアーの指揮をキャンセル

  7. ヴェルビエ発 〓 音楽祭が緊急救援基金起ち上げ、コロナ禍で苦境のフリー・アーティストに支援金

  8. マルチナ・フランカ発 〓 ヴァッレ・ディートリア音楽祭の次期芸術監督にセバスチャン・シュワルツ

  9. テルアビブ発 〓 ルービンシュタイン国際ピアノコンクール終了、スペインのフアン・ペレス・フロリスタンが優勝、日本の桑原が第2位

  10. ストックホルム発 〓 2022年の「ポーラー音楽賞」にフランスの室内オーケストラ、アンサンブル・アンテルコンタンポラン

  11. ブラティスラヴァ発 〓 ミハイル・プレトニョフが新しいオーケストラを創設、ロシア・ナショナル管の音楽監督を当局が解任?

  12. モスクワ発 〓 ロシアは過去24時間の新規感染者、死者とも過去最多を記録、来月7日まで全土で劇場など閉鎖

  13. ベルリン発 〓 レコード賞「オーパス・クラシック」授賞式がコンツェルトハウスで

  14. ウィーン発 〓 来シーズンのウィーン・フィルの定期演奏会にミルガ・グラジニーテ=ティーラ、女性指揮者の定期起用はオーケストラ初

  15. モスクワ発 〓 スヴェトラーノフ記念ロシア国立響の芸術監督に39歳のフィリップ・チシェフスキー

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。