イタリアの「カゼルタ宮殿夏音楽祭」が7月末、ロシアを代表する指揮者ワレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)を招いて行う予定だった演奏会をキャンセルした。プーチン政権を支持するゲルギエフの出演に対する内外からの批判を受けて。
ゲルギエフは2022年にウクライナに武力侵攻したプーチン政権の路線を支持。それを受けて欧米各国の音楽界から“追放”された状態が続いており、今回のコンサートが西欧の音楽シーンへの復帰の足がかりになると見られていた。
ところが、そのスケジュールが発表されると、イタリアから選出されている欧州議会の副議長ピナ・ピチェルノ、昨年2月にロシアの刑務所で死亡した反プーチン活動家アレクセイ・ナワリヌイの未亡人らが反対を表明するなど激しい反発が起きていた。
また、ノーベル賞受賞者を含む欧米の知識人700人がコンサートの中止を求める請願書をEU(欧州連合)、イタリア政府に提出。これを受けてイタリア政府は方針を転換、イベントの主催者であるカンパニア州に責任を委ねた結果、キャンセルが決まったという。
指揮する予定だったのは、7月27日のコンサート。サレルノ・フィルハーモニー管弦楽団「ジュゼッペ・ヴェルディ」を指揮、コンサートには自らが総裁を務めるサンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場管弦楽団から数人のメンバーも帯同。ヴェルディのオペラ《運命の力》の序曲、チャイコフスキーの交響曲第5番、ラヴェルの《ボレロ》というプログラムが組まれていた。
写真:Alberto Venzago
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カゼルタ発 〓 ゲルギエフのコンサートを断念、イタリアのカゼルタ宮殿夏音楽祭が内外からの批判浴び
2025/07/23
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