ルツェルン発 〓 ルツェルン音楽祭がノイマン指揮チェコ・フィルの未発表録音ををリリース

2024/08/20

スイスのルツェルン音楽祭(Lucerne Festival)が「Audite」レーベルから、ヴァーツラフ・ノイマン(Václav Neumann)指揮のチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の未発表録音を収録したディスクをリリースすると発表した。チェコ・フィルは「プラハの春」の翌年1969年、東側のオーケストラとして初めて音楽祭に出演している。

収録されているのは、アントニン・ドヴォルザークの交響曲第8番と交響詩《森の鳩》、スメタナのオペラ《リブシェ》の前奏曲。録音は1984年8月、1988年3月。いずれも、1968年から1990年まで首席指揮者を務めたノイマンが指揮している。

ノイマンはプラハ生まれで、プラハ音楽院でヴィオラを学ぶかたわらヴァーツラフ・ターリヒに支持して指揮を学んだ。在学中、後にスメタナ弦楽四重奏団となる音楽院のメンバーで結成された弦楽四重奏団でヴィオラ奏者を務め、1945年にチェコ・フィルに入団した。

指揮者デビューは1947年で、チェコ・フィルの首席指揮者だったラファエル・クーベリックの代役を務めた。これを機に指揮活動に専念、スメタナ弦楽四重奏団を退団した。翌1948年にクーベリックが共産党体制に反発して祖国を離れると、チェコ・フィルの常任指揮者となった。

1950年、クーベリックの後任にカレル・アンチェルが就任するとチェコ・フィルを離れ、ブルノ交響楽団、プラハ市交響楽団などを指揮するようになり、その後は活躍の場を東ドイツに。1957年から1964年までベルリン・コーミッシェ・オーパーの首席指揮者、1964年からはライプツィヒ市の音楽監督とゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督に就任した。

しかし、1968年にチェコの民主化運動に旧ソ連が介入して「プラハの春」が起きると、旧東独軍がこれに参加したことに抗議して辞任。祖国に戻り、カナダに亡命したアンチェルの後任としてチェコ・フィルの首席指揮者に就任した。その後、1990年に名誉指揮者となるまでの22年にわたり、首席指揮者を務めた。

また、1989年の「ビロード革命」の時は、一貫して民主化運動側を支援。民主化が実現した直後の12月14日には新大統領のヴァーツラフ・ハヴェルを招いて、ベートーヴェンの《第9》を演奏している。1995年に滞在先のウィーンで客死した。

写真:Czech Philharmonic


関連記事

  1. グラフェネック発 〓 ルドルフ・ブッフビンダーが音楽祭の芸術監督をさらに2年

  2. グラフェネック発 〓 音楽祭開幕コンサートの指揮台に佐渡裕、幕開けは細川俊夫の新作ファンファーレ、ヴェルディのレクイエムは急きょ“合唱なし”

  3. ルツェルン発 〓 ルツェルン音楽祭が秋のイベント「ベートーベン・別れ」をキャンセル

  4. ブルノ発 〓 ティーレマンがアキレス筋を再手術、ヤナーチェク音楽祭での指揮をキャンセル

  5. ノボシビルスク発 〓 トランス=シベリア芸術祭が開幕

  6. ミュンヘン・オペラ・フェスティバル 〓 予定通りの開催、カウフマンがトリスタンに初挑戦

  7. ロンドン発 〓 夏の音楽祭「BBCプロムス」が2019年秋に日本公演

  8. ラヴィニア音楽祭 〓 マリン・オールソップが音楽祭の首席指揮者に就任

  9. 訃報 〓 ミヒャエル・ハンペ(87)ドイツの演出家

  10. シュヴェチンゲン発 〓 SWRシュヴェツィンゲン音楽祭が開催を断念

  11. ブレゲンツ発 〓 ブレゲンツ音楽祭が2024年夏の公演ラインナップを発表、上演オペラは《魔弾の射手》

  12. エクス=アン=プロヴァンス音楽祭 〓 2021年は6月30日の開幕、ラトルが《トリスタンとイゾルデ》を指揮

  13. チューリッヒ発 〓 チューリッヒ歌劇場が2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  14. バイロイト・バロック 〓 音楽祭開幕、ポルポラのオペラ《カルロ・ディ・カルヴォ》で

  15. インスブルック発 〓 古楽音楽祭が2021年の公演ラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。