ブラジルのチェロ奏者アントニオ・メネセス(Antonio Meneses)が8月3日、多形性膠芽腫という進行性の脳腫瘍のため、スイスのバーゼルで亡くなった。66歳だった。7月初めにソーシャルメディアを通じて声明を発表、スケジュールをすべてキャンセルし、自宅で緩和ケアを受けていることを明らかにしていた。
ブラジル北東部の港湾都市レシフェ生まれで、リオデジャネイロ育ち。10歳でチェロを始め、16歳でイタリア人チェロ奏者のアントニオ・ヤニグロと出会い、門下生となって渡欧、デュッセルドルフ、後にシュトゥットガルトでヤニグロに学び、1977年に「ミュンヘン国際音楽コンクール」、1982年には「チャイコフスキー国際コンクール」で優勝。以後、国際的な活躍を続け、著名なオーケストラや指揮者との共演を重ねている。
また、室内楽活動にも積極的で、ピアノのメナヘム・プレスラー、ヴァイオリンのダニエル・ホープと共に伝説的なボザール・トリオの最後のメンバーとして知られる。後進の指導にも熱心で、スペインのソフィア王妃高等音楽院やイタリア・シエナのキジアーナ音楽院で指導に当たり、2008年からはベルン音楽院で教えていた。
写真:Marco Borggreve
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