米国の指揮者ジョン・ネルソン(John Nelson)が3月31日に亡くなった。83歳だった。ロマン派音楽や教会合唱音楽の優れた解釈で国際的な名声を確立、とりわけヘンデルとベルリオーズのスペシャリストとして名を馳せた。
コスタリカのサンホセ生まれ。両親はアメリカ人で、父親がプロテスタント宣教師という家庭で育った。イリノイ州のフィートン・カレッジに学んだ後、ジュリアード音楽院でジャン・モレルに師事。指揮者デビューは1972年で、その後、世界各地のオーケストラ、歌劇場に客演を続けていた。
そのかたわら、インディアナポリス交響楽団(1976ー1987)、セントルイス歌劇場(1985ー1991)、パリ室内管弦楽団(1998ー2008)の音楽監督を歴任。インディアナポリス響とは、エレン・ターフィ・ツウィリッヒ作品集とチャールズ・マーティン・レフラー作品集という珍しい録音を残している。
ベルリオーズのオペラ作品の他、教会合唱音楽の録音も多くあり、オランダ放送室内管弦楽団を指揮したハイドン《天地創造》、パリ室内管弦楽団とのバッハ《マタイ受難曲》などは名盤の誉れが高い。
受賞歴も多く、キャスリーン・バトル、マリリン・ホーン、サミュエル・レイミーを起用し、イギリス室内管弦楽团を指揮したヘンデル《セメレ》が1994年の第36回「グラミー賞」、リヨン国立歌劇場管弦楽団を指揮したベルリオーズ《ベアトリスとベネディクト》がフランスの金のディアパソン賞に輝いている。
写真:PMF
訃報 〓 ジョン・ネルソン(83)米国の指揮者

2025/04/08
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