ワシントン発 〓 ナショナル交響楽団が過去最大の財政危機に、新シーズンの先行き不透明

2026/08/14

ワシントンのケネディー・センターを本拠地に活動しているナショナル交響楽団(National Symphony Orchestra)が過去最大の財政的な危機に直面していると、米国の有力紙「ワシントン・ポスト」が報じている。オーケストラは1986年の経営危機後、センターの傘下で活動してきたが、トランプ政権下でセンター自身が迷走。新シーズン2026/2027シーズンの予算も承認されておらず、開催自体が危ぶまれているという。

報道によると、2025/2026シーズンは経費は微減したものの、寄付金は予想を25%下回り、チケット収入は予算額の約半分に留まる見通し。クラシック・コンサートの動員率は約41%と、一昨年の72%、昨年の58%からさらに低下している。

また、ビージーズのトリビュート公演「Stayin’ Alive」は2回の公演で23万8,000ドルの収益を見込んでいたものの、実際の売上は2万6,730ドルに終わり、数百万ドル規模の損失を抱えているという。

センターは今年に入って名称を「トランプ・ケネディ・センター」に名称を変更したが、6月に連邦裁判所から名称変更はまかりならんとの判決が出て、急きょ元の名称に戻すことに。今回のプロジェクトには、建物の「ケネディ・センター」の文字の下に「ドナルド・J・トランプ大統領により修復・改修された」の文字を入れることも含まれているため、差し止め訴訟再びの怖れもある。

加えて6月には、一方的に専属契約を切られてセンターから離れたワシントン・ナショナル・オペラから1,700万ドル(約26億3,500万円)を超える寄付金の返還を求める訴訟が起こされている。

センターの理事会は13日、トランプ大統領が主導する総額2億5,000万ドル規模の「刷新」プロジェクトを承認した。プロジェクトでは、改修工事のためセンターを一時閉鎖し、構造の補修、大理石の床の張り替え、1.180万ドルを投じる音響設備の改善、700万ドルを投じるトイレの改修、ケネディのブロンズ製胸像の一時移設などが予定され、2028年夏のリニューアル・オープンすることになっている。

しかし、今回の理事会後の発表ではオーケストラの扱いについては触れられておらず、先行き不透明なまま新シーズンが開幕する9月を迎えることになりそうだ。

写真:National Symphony Orchestra


関連記事

  1. ウィーン発 〓 ポリーニが10ヵ月ぶりに現場復帰

  2. グラスゴー発 〓 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の次期音楽監督にリトアニアのギエドレ・シュレキーテ

  3. ダラス発 〓 ダラス交響楽団が演奏会形式による“リング・チクルス”、オーケストラによる通し上演は全米初

  4. シュトゥットガルト発 〓 州立バレエが音楽監督を解任

  5. 訃報 〓 服部克久(83)日本の作曲家

  6. カールスルーエ発 〓 バーデン州立劇場の次期音楽総監督にケレム・ハサン

  7. 香港発 〓 コンサートホールなどまた閉鎖、新型コロナウイルスの感染再拡大で

  8. ベルリン発 〓 指揮者サイモン・ラトルにドイツ連邦政府最高位の勲章

  9. ウィーン発 〓 指揮者のアンドリス・ネルソンスがウィーン・フィルの名誉会員に

  10. サンティアゴ発 〓 アンドレ・リュウ率いる“ヨハン・シュトラウス・オーケストラ”がチリで立ち往生

  11. ハンブルク発 〓 指揮者のケント・ナガノがドイツの「共和国功労勲章大功労十字章」を受章

  12. クアラルンプール発 〓 マレーシア・フィルの音楽監督に準・メルクル

  13. トリノ発 〓 アンドレア・バッティストーニがテアトロ・レッジョの音楽監督に

  14. ロンドン発 〓 「最も忙しい指揮者」は2023年もネルソンス

  15. ベルゲン発 〓 ペトレンコ、ベルゲン・フィルのコンサートを「深刻な健康問題」でキャンセル

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。