メトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ(Peter Gelb)総裁が「ニューヨーク・タイムズ」紙のインタビューに対し、昨年夏にサウジアラビアと結んだ提携合意に変更が生じる怖れがあり、リストラを行わざるを得ないことを明らかにした。合意では、5年間で1億ドル(約158億円)以上の資金提供を受け、毎年冬に首都リヤド近郊のディルイーヤ王立歌劇場で3週間にわたり出前公演を行うことになっていた。
それによると、管理職22人を解雇、年収15万ドル以上の幹部35人の給与を4~15%削減するというもので、ゲルブに加え、音楽監督で2024年度に205万ドルの報酬を受けていたヤニック・ネゼ=セガンも減給される。そうした人件費の削減で今年度は1500万ドル、来年度は2500万ドルの支出が減るという。
また、2026/2027シーズンの上演演目についても、サイモン・マクバーニー演出、エサ=ペッカ・サロネンの指揮で予定されたムソルグスキー《ホヴァーンシチナ》の新制作を中止して、予定した18から17に減らすことになった。
加えて、劇場の命名権を販売。また、エントランス両翼に飾られているシャガールの壁画2点の売却も検討しているという。オークション大手のサザビーズが総額5,500万ドルと評価している名作で、1960年代に劇場からの委嘱を受けて制作されたもの。売却に当たっては、壁画を劇場にそのまま残すことを条件にするという。
ゲルブ総裁は昨年9月に2030年まで任期を延長しており、契約更改時にサウジアラビアからの資金導入を発表していた。それにより劇場の財務状況は2032年まで安定すると説明していた。ところが、サウジアラビアの経済事情で、5年にわたる契約に変更が生じる怖れが出てきており、今回のリストラに踏み込んだとしている。
写真:Municipal Art Society of New York / Billie Grace Ward
ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が大リストラ
2026/01/21
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