訃報 〓 アニー・シュレム(97)ドイツのソプラノ歌手

2026/08/23

ドイツのソプラノ歌手アニー・シュレム(Anny Schlemm)が8月20日、オーストリア・グラーツの高齢者施設で亡くなった。97歳だった。指揮者のヴォルフガング・レンネルト夫人で、ヴァルター・フェルゼンシュタイン率いるベルリン・コーミッシェ・オーパーの創設期から活躍。その後、国際的な活躍を続け、キャリアの後半にはメゾ・ソプラノに転向、リヒャルト・シュトラウスやヤナーチェクの役で名声を博した。

ドイツ中西部ノイ=イーゼンブルクの生まれで、ハレとベルリンで学び、1946年にハレ歌劇場で歌手デビューした。1949年からは旧・東独のベルリン国立歌劇場とベルリン・コーミッシェ・オーパーで参加。コーミッシェ・オーパーではフェルゼンシュタイン演出の数々の作品に出演、1963年には当たり役となったオッフェンバックの《青ひげ》のブーロット役を歌い、1992年までに257回演じている。

その後、ケルンやフランクフルトに活躍の場を広げ、ケルンでは1957年に初演されたフォルトナーの《血の婚礼》、フランクフルトでは1964年に初演されたヴィムベルガーの《貴婦人コボルト》などの世界初演に参加。1963年にはフランクフルトから「宮廷歌手」の称号が授与されている。

その後、ドイツの主要歌劇場での活躍を経て、ウィーン国立歌劇場、ロンドンのロイヤル・オペラ、グラインドボーン音楽祭、パリ国立オペラなど国際的な舞台で活躍。バイロイト音楽祭にはワーグナー《さまよえるオランダ人》のマリー役で、1978年から1985年まで出演を重ねた。

演じた役には、モーツァルト《フィガロの結婚》のケルビーノとスザンナ、《ドン・ジョヴァンニ》のエルヴィーラ、ビゼー《カルメン》のミカエラ、ウェーバー《魔弾の射手》のアガーテ、リヒャルト・シュトラウスの《薔薇の騎士》や《アラベラ》のタイトルロールがある。

声質がより暗い響きを帯びるようになると、メゾ・ソプラノのレパートリーを歌うようになり、リヒャルト・シュトラウスの《エレクトラ》のクリュテムネストラや《サロメ》のヘロディアス、ヤナーチェクの《カーチャ・カバノヴァー》のタイトルロールや《イェヌーファ》のコステルニチカで高い評価を得ていた。

写真:Komische Oper Berlin


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