クラウディオ・アバド(1933 – 2014)、ピアノのマルタ・アルゲリッチ(1941 – )、ともに20世紀を代表する音楽界の巨星二人が共演した演奏会が収録されている。2013年のルツェルン・イースター音楽祭でのライブ録音で、アバドは翌年2014年1月に亡くなったので、巨匠にとっては最晩年の録音の一つでもある。20番、25番とも、それぞれ単独で録音は残しているが、この組み合わせでは、意外にも初めての録音。共演も約10年ぶりだったが、若い頃から数々の名演、名盤を生み出しているだけに、二人の息遣いはここでもぴったりと噛み合い、二曲とも生き生きとして、モーツァルトの魅力を存分に引き出した素晴らしい仕上がりだ。オーケストラは巨匠が2004年に自らボローニャに設立したモーツァルト管弦楽団。巨匠はメンバーと語り合うかのようにオーケストラをしなやかにドライブし、細かい印影を繊細に描き尽くしてモーツァルトの音楽の隅々に息を吹き込んでいく。音色の美しさも抜群。アルゲリッチのピアノも、アバドの献身的なサポートに身を委ねつつ、振幅の大きな音楽を紡ぎ出して魅力的だ。
……… 収録曲
CD1
・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調 K.503
・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
……… 演奏
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
クラウディオ・アバド(指揮)
モーツァルト管弦楽団