スイス南部ルガーノで4月~6月にかけて行われてきた音楽祭が2016年、スポンサーの撤退によって惜しまれながら幕を閉じた。2002年からその音楽祭の中心に置かれていたのが、ピアニストのマルタ・アルゲリッチが主催してきた若手音楽家育成のための「Progetto Martha Argerich=マルタ・アルゲリッチ・プロジェクト」だ。プロジェクトには、チェロのミッシャ・マイスキー、ピアノのスティーヴン・コバセヴィチ、ヴァイオリンのイヴリー・ギトリスといった彼女の仲間たちがこぞって参加、彼らによって実に多彩なプログラムが組まれてきた。この3枚組のアルバムは、その最後の2016年の記録。2016年の音楽祭は6月7日から30日にかけて行われている。アルゲリッチの演奏だけをみても、ベートーヴェンの《合唱幻想曲》、J.Sバッハの《ヴァイオリン・ソナタト短調》、朗読付きの《夜のガスパール》まで、新しいレパートリーと若い頃によく演奏したレパートリーの組み合わせ。彼女の演奏を色々なスタイルで堪能できるのも魅力。
……… 収録曲
CD1
・ラヴェル:夜のガスパール
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・ブゾーニ:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35a、BV243
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮スイス・イタリア語放送管弦楽団
・モーツァルト:2台ピアノのためのソナタ ニ長調 K.448/375a
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、セルゲイ・ババヤン(ピアノ)
・ファリャ:2つのスペイン舞曲(歌劇『はかなき人生』より)
セルジオ・ティエンポ(ピアノ)、カリン・レクナー(ピアノ)
CD2
・ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮スイス・イタリア語放送管弦楽団
・ベートーヴェン:合唱幻想曲 op.80
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ディエゴ・ファソリス指揮スイス・イタリア語放送管弦楽団&合唱団
・ブラームス:ホルン三重奏曲変ホ長調 op.40
ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)、ルノー・カプソン(ヴァイオリン)、ダヴィッド・ゲリエ(ホルン)
CD3
・ベルク:ピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための室内協奏曲
ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)、ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
ブルーノ・グロッシ(フルート)、マウリツィオ・シメオリ(ピッコロ)
パオロ・ベルトラミーニ(クラリネット)、コッラド・ジュフレディ(クラリネット)
ステファノ・フランチェスキーニ(フルート)、マルコ・スキアヴォン(オーボエ)
フェデリコ・チコリア(オーボエ)、アルベルト・ビアーノ(バスーン)
ステファノ・センプリーニ(ヴァイオリン)、リカルド・セラーノ(ホルン)
ヴィットリオ・フェラーリ(ホルン)、イヴァーノ・ビュアート(トランペット)
フロリアーノ・ロシーニ(トロンボーン)、エレーナ・シュワルツ(指揮)
・J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ト短調 BWV.1017
テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲=ドビュッシーによる2台のピアノ版
スティーヴン・コワセヴィチ(ピアノ)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・ニシンマン:オンブレ・タンゴ
アンサンブル・レンクエントロス