新作オペラFLASH ★ モネ劇場 … 魔笛

モーツァルト:魔笛
9月18日 … モネ劇場, ブリュッセル

演出 … ロメオ・カステルッチ
出演 … ガボール・ブレッツ = ザラストロ / エド・ライオン = タミーノ / ディートリヒ・ヘンシェル = 弁者 / サビーヌ・ドゥヴィエル = 夜の女王 / ソフィー・カルトホイザー = パミーナ / ゲオルク・ニグル = パパゲーノ / エレナ・ガリツカヤ = パパゲーナ / エルマー・ギルバートソン = モノスタトス / 他
指揮 … アントネッロ・マナコルダ
オーケストラ … モネ劇場管弦楽団
合唱 … モネ劇場合唱団

話題作というよりも、ここまでいくと衝撃作。第1幕は全員がロココ調の衣裳で登場し、幻想的な真っ白な空間の中で話が展開すると思えば、2幕は情景がガラッと変わって、全員が作業服姿。物語は刑務所内の矯正施設のようなところで進んでいく。オリジナルのセリフを大胆にカットしているのも特徴で、「キー・センテンス」がそれに取って変わる。2幕は出だしからして強烈で、搾乳のシーン。ミルクというキーワードはその後も出てきて、夜の女王はミルクのパックを打ち振りながら有名な「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」を歌う、といった具合。2幕では一般人をステージに上げているのも特異。目の不自由な女性5人、男性は事故で火に焼かれた体験を持つ男性5人が登場して、その体験を語るという、よもやの展開。光、闇、炎…、作品に潜むキーワードを浮かび上がらせ、観る者を思考の迷宮に誘い込む。夏のザルツブルク音楽祭のリヒャルト・シュトラウス《サロメ》に続き、カステルッチが放った強烈なパンチが劇場を激しく揺さぶる。

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