[劇場名]ニュルンベルク州立劇場
Staatstheater Nürnberg
[所在地]ニュルンベルク … ドイツ
Nürnberg … GERMANY
[開場年]1905年
[客席数]1,400席
…… ニュルンベルク州立劇場 / Staatstheater Nürnberg
[総監督・オペラ監督]2018 ▷
イェンス=ダニエル・ヘルツォーク / Jens-Daniel Herzog
[音楽総監督]2018 ▷
ヨアナ・マルヴィッツ / Joana Mallwitz
ドイツは小さな街にも歌劇場があって、その数100を超える。そうしたドイツの歌劇場の中で、いま最も熱い視線を浴びているのがこの劇場だ。2018/2019シーズンから総監督・オペラ監督にイェンス=ダニエル・ヘルツォーク、音楽総監督(GMD)にヨアナ・マルヴィッツが起用され、演出と指揮ともに“いまが旬”の二人が顔を揃えているからだ。
ヘルツォークは1964年、ベルリンの生まれ。マンハイム国民劇場の演劇監督、ドルトムント歌劇場総監督を経ての就任。物語を現代社会に移す、ストーリーを大胆に読み替える、劇中劇を取り入れる、といった演劇性の強い、切れ味の良い演出で注目を集め、次回作が常に話題となる気鋭の演出家だ。
一方のマルヴィッツはヒルデスハイム生まれの34歳。彼女はハノーファー音楽演劇大学で学んだ後、27歳の若さでエアフルト劇場の音楽総監督に就任。こちらに移ってから指揮した《ローエングリン》や《戦争と平和》の成功で、2019年にはオペラ雑誌の「オペルン・ヴェルト」、「オパー・マガジン」の“今年の指揮者”に選ばれた俊英。2020年にはモーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》を振って、ザルツブルク音楽祭デビューも果たしている。
ニュルンベルクはドイツ南部バイエルン州の中北部の街。人口50万強、ミュンヘンについで州で2番目に大ききな街だ。1835年にドイツで初めての鉄道が敷かれた街で、世界最大のおもちゃの見本市、国内最大級のクリスマス・マーケットで知られる。音楽ファンにとってはなんといっても、ワーグナーのオペラ《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の舞台という親しみがある。
彼らがホームグランドとする州立劇場も、ワーグナー広場に建ち、1905年の開場時には《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の前奏曲と終幕を演奏している。劇場はその後、ナチス政権の手で改めて改築され、1935年9月10日にヴィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮で《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を上演して再開場したという歴史を持つ。そう、この街は、ナチス政権ゆかりの街でもあるのだ。
ナチス政権時代はヒトラーが「帝国党大会の都市」と宣言している。レニ・リーフェンシュタールの記録映画「信念の勝利」や「意志の勝利」はここで撮られた。それ故、戦勝国がナチス政権の要人を裁いた裁判は敢えてこの街で行われた。城壁をはじめとする美しい中世の街並みは街の魅力だが、それも大戦時の激しい空襲と地上戦で一度は瓦礫と化した。戦後、市民たちが必死で復元したものだ。