[開催都市]
St.Petersburg … Russia
サンクト・ペテルブルク … ロシア
[開催時期]
2025:5.27 … 8.1
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オペラにしてもバレエにしても、ソ連時代は首都モスクワの「ボリショイ劇場」にばかりスポットライトが当たっていた。しかし、歴史的には、帝政ロシア時代の古都サンクト・ペテルブルク(ソ連時代はレニングラードと呼ばれた)にある「マリインスキー劇場」の方にずっと重みがある。
劇場は18世紀後半、当時の女帝エカテリーナ2世の勅令により、オペラとバレエの専用劇場として開設された。グリンカやムソルグスキー、チャイコフスキーのオペラがすべてこの劇場で初演されている上、「白鳥の湖」や「眠りの森の美女」といった有名なバレエもここで初演されている。
そんな輝かしい歴史を持つ名門も、ソ連崩壊で存続の危機に陥った。そこに登場したのが、いまなお芸術監督を務める指揮者のワレリー・ゲルギエフだ。彼は1989年に芸術監督に就任すると(まだ35歳の若さだった!)、強力なリーダーシップを発揮して劇場の意識改革を断行した。
ゲルギエフは優秀な若手歌手を発掘する一方、新しい録音を西側で次々にリリース。評判を高めたオーケストラを率いて世界中で公演を打つようになり、かつての黄金時代を上回る大躍進を遂げた。一方の「ボリショイ劇場」はソ連崩壊時の混乱が未だに尾を引いて全盛期の輝きを取り戻せない。
この音楽祭は、いまやロシア第一のオペラハウスの名をほしいままにする「マリインスキー劇場」が総力を挙げて取り組んでいる音楽祭だ。いつまでも日が暮れない「白夜」の時期に行われている。その時期、古都ではさまざまなイベントが開かれ、街全体が熱狂に包まれる。その熱狂の核になっているのがこの音楽祭だ。







