2018年6月8日夕、旧市街の中心部に位置する聖トーマス教会。同教会のオルガニスト、ウルリッヒ・ベーメの弾く「トッカータとフーガニ短調」が、音楽祭の幕開けをダイナミックに告げた。ここは、バッハが1723年から没するまでの27年間を、カントル(楽長)として過ごした場所。内陣には作曲家本人が埋葬されている。
音楽祭の開幕コンサートは毎年、ここで行われることが慣例に。このステージではこの後、現カントルのゴットホルト・シュヴァルツ指揮のトーマス教会合唱団、ゲヴァントハウス管弦楽団他で、「ミサ曲ヘ長調」(BWV233)などバッハの作品を軸に、”過去”にあたるヘルマン・シャイン、”未来”であるメンデルスゾーンの作品が上演された。
ライプツィヒでのバッハフェストは、新バッハ協会の主催で1904年にスタート。1〜6年に1回と当初は不定期ながらも、継続的に開催されてきた。1999年以降は、新バッハ全集の編纂などに携わるなど、その作品研究の最先端を担っているバッハアルヒーフ・ライプツィヒ(ドイツ国立ライプツィヒ・バッハ資料財団)とライプツィヒ市の共催となり、毎年の開催に。さらに、以前は教会歴における昇天祭の前後に合わせて開催されていたが、現在は毎年6月の第2週の金曜日から第4週の日曜日にかけての10日間と、会期が固定されている。
音楽祭の期間中は、聖トーマス教会をはじめ、やはりバッハがカントルを務めていた聖ニコライ教会、そして、ゲヴァントハウス(大ホール、ならびに小ホール=メンデルスゾーン・ザール)や旧市庁舎、バッハアルヒーフ内の小ホール「ゾンマーザール」など、普段から演奏会が開催されている場所はもちろん、中央駅にもステージを特設。期間中の最初の週末、旧市街の中心・マルクト広場で行われ、ビールやワインを片手に楽しめる野外コンサート「Bach Open Air」など、無料のものをあわせて150以上ものステージが開催され、街中にバッハの旋律があふれる。
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